ーTRVA(一般社団法人東京城南地域獣医療推進協会)について教えてください。
当センターは、犬猫を専門に夜間の突発的な症状に対して救急医療をおこなう動物医療サポート施設です。
診療時間は夜8時~翌朝6時(現在※2020年4月時点COVID対策のため診療時間を20時~午前1時に短縮)で、3~4名の獣医師と3名の看護師でローテーションを組んで対応しています。
ー2011年の開院後、この9年間で地球環境(温暖化など)には変化がみられますが、ペットにも変化があるのでしょうか?
当センターをご利用の方は東京在住の方が多いため、東京の病院という前提でお答えしますね。
多くの場合は室内飼いのペットです。そのため、大きな変化はないと思っていましたが、室内で飼われている分、外気温と内気温の急激な変化に耐えられないペットが増えてきていると思うことがあります。
また、犬種ブームのようなものもあり、ここ数年人気のあるフレンチブルドッグやパグなど「短頭種」とよばれる鼻の短いワンちゃんは非常に熱中症になりやすいですね。
ー実際に熱中症にかかってしまうペットは多いのでしょうか?
やはり夏の時期(5月初旬~9月頃)に多く来院する傾向にあるかと思います。例えば、「まだ涼しいから大丈夫だろう」という時期にワンちゃんだけ車に置き去りにしてしまい車内が相当熱くなっている…ということもあります。また、初夏などエアコンをつけずに外出し思ったより動物のいる部屋が暑くなってしまったという事例もあります。エアコンなどを使用して室内環境を快適にしてあげることがすごく大切だと思います。特に室内飼いをされている飼い主さんの多くは、防犯上の理由もあり、窓を開けたまま外出するわけにはいきません。そのため直射日光が当たり「室内温度が急激に上昇してしまう」という場合があります。
ーエアコンの推奨設定温度はありますか?
これはペットの種類や年齢、肥満度、持病の有無などによって変わるため一概にお答えできません。
「その子の特徴に応じて適温を見つけてあげる」ことが大切です。ただし、暑くなることは問題なので、多少涼しめに感じるぐらいが人もペットも快適に暮らせると思います。
※北欧犬などは人が快適でも犬にとっては暑いということがあります。お腹を涼しいところにおし付けたり、口を開けてハアハアしていれば、少し冷やしてあげましょう。
ー熱中症になってしまった場合の対処法はどのようなものがありますか?
まずは「体を冷やす」ということが大切です。
熱中症で問題になるのは体温の上昇で、上昇し過ぎることで様々な臓器が傷んでしまい、重症化すると死に至ることもあります。犬や猫は人間のように汗をかいて気化熱で体を冷やすことができず、パンティングといって「ハァハァ」呼吸を早くして気道から熱を放出します。呼吸が早くなったら、エアコンを強める、首回りや内股を冷やすことで体温を下げることが重要です。加えて、風通しが良く湿度が低い場所に連れていくのが良いでしょう。また、ハアハアと呼吸を早めることで熱とともに水分も外に出てしまい脱水が起こります。熱中症の初期症状として、最初に障害を受けるのが消化器です。吐き気を催したり下痢を起こしたりするので、まずは「体を冷やして水分補給」をしてください。
ー熱中症防止のためエアコン以外におすすめの家電はありますか?
水が常に流れているような給水機があります。あとはカメラですね。共働きの場合だと、家の中に誰もいない時間が長くなってしまいます。そのようなときにペットが元気かどうかを確認することができます。